2007年12月5日水曜日

老人保健

来年の4月から老人医療の新しい保険制度が発足する。
この制度の対象は75歳以上だから、私自身がその対象になるにはまだ10年あるのでもうひとつ関心がわかない。新聞などに詳細な内容の説明があってもあまり熱心に読む気はしない。

運よく長生きすればお世話になることになるが、正直言ってこれから先に何がどう変わるか分からないというのが本音だ。多くの方が似た考え方の人が多いのだろう。でも、親御さんやご兄弟が該当するようなら、ご本人は高齢なので、周囲の人が早目から検討して、助言されたらよいと思う。

私の両親(両方が故人)はいちばん良かったときの老人保険制度の恩恵を受けたとても運の良い世代だった。この制度自体がそれほど古くはなく、昭和48年に発足したと聞く。最初は70歳以上が対象で自己負担はすべて無料になった。非常に良い制度としてスタートしたのだが、その後いろいろ不都合なことが発生したようだ。

曰く、暇な老人が病院の待合室を占拠する「病院のサロン化」、病院の出口のゴミ箱は支給された薬でいっぱいになる、治療費が無料なので高齢者の長期入院者でベッドがふさがる・・・等々。真偽のほどは別として、老人医療費が予期せぬほど急激に増加したことは事実のようで、これにあわてた厚生労働省はいろいろな修正を加えてきた。今度の新制度発足もその一環のようである。

私は国民健康保険に所属するが、3年前までは勤務していた企業の健康保険組合に所属していた。そして多くの健保組合がこの老人保健制度にネを上げていると聞いた。企業の健保組合だから一見老人保険制度に無縁だと思うが、それが大違い。

企業の健保組合は従業員の給与から毎月何%かを天引きして、それに企業が同額負担してその両方を基にして、従業員と扶養家族の病気治療にかかる費用や出産費用等々健康保険を運用する。ところが、すべての健保組合は国から老人医療に回すための拠出金を納めることを強制されるのである。それも費用総額の40%近くと大変な額に上り、健保保険組合によってはその負担が大きすぎて、赤字運営を余儀なくされるところが多いと聞いた。

老人保険制度の原資は国からの税金が38%、被用者保険からの拠出金が62%で運営しているのである。つまり、現役世代が先輩の医療費を負担するという考え方だ。新制度はこの拠出金を軽減することも目的の一つのようだ。

4月からスタートする老人保険制度は75歳以上が対象であり、これからは該当する年齢になると、今までの健康保険制度を抜けてそちらに移るということになる。息子や娘の勤め先の健保組合の扶養家族になっているなら、月々の扶養家族の分の保険料はタダだったものが、新保険に移ることで新たに保険料を払うことになる。今までが国民健康保険なら、別の制度に移るので掛け金が変わる。

新たな支払う保険料も住む都道府県によって随分違うというのは不可解だ。僅かな差なともかく、今の試算では2倍もの差となるというからバカにならない。いずれは修正が行われるのかどうか?
各都道府県の保険料はこちら

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

財政再建の一環として、医療費の1兆円削減が小泉さんの時に決まっていて、お話の老人保健(後期高齢者医療制度)も公的支出抑制のための施策です。

私が適用になるには30年以上ありますが、「姥捨て制度」と呼んで納得していません。わずかな年金で生活している人にも新たに負担が発生しますし、自己負担も増えます。つまりは、身体が悪くなっても負担増を考えたら病院に出来るだけかからないようにしようという気持ちにさせて、公的支出を減らしたいという魂胆の下衆さがたまりません。
さらに、一番問題なのはその保険料の負担が出来なくなった人からは、保険証を取り上げることが出来るようになることです。要はお金がない人は医者にも掛かるなという正に「姥捨て」の制度です。もっと将来の保険制度の有り方を真剣に議論してから決めないといけません。

匿名 さんのコメント...

れいさん
全く、その通りです。高齢になってから安心できる福祉政策が望まれますね。日本の資源は人です。高齢になっても人を大切にする国には若い人達の励みになるはずです。
どちらにしても、日本は過去を見ても年金・健保・介護いわゆる福祉に対する政策に一貫性がありません。これを一本化して、しっかりした制度設計をしなければ、いつの時代になっても国民は振り回されてしまいます。

福祉には金が必要ですが、「霞ヶ関の埋蔵金」ですよ!高額な埋蔵金が見えているのに、堀手がいないのは悲しいです。
埋蔵金がダメでも、ガソリン税は道路に使うように、消費税は100%福祉専用に使うようにすべきだと思います。

今が中負担中福祉だとすれば、できれば中負担高福祉に、仮に高負担でも確実な高福祉なら国民も納得できるのでは?その場合は社会的弱者は救済する仕組みはセットにして欲しいものです。

lazarus さんのコメント...

社会人になった頃は、念願の0割でしたが、
次第に、往診がなくなり、入院制限などで
福祉面は落ち目ですね。
昔は、Dr.コトーのような時代でしたね。
夜中に、医院のところに電話して、
根競べで、やっと、来てもらったことがありましたね。
今や、具合の悪いときは、病院に行く気もしませんね。待ち時間中にダウンしそうです。(^_^;)

匿名 さんのコメント...

lazarusさん
私もサラリーマン時代、休日の休みなどに大病院の皮膚科などに行ったとき、朝から行ってすべてが終わって病院を後にするのがお昼などということがよくありました。

それでも診察は3分、先生はちょっと診て、モニターに向かって薬の処方を入力するだけでした。
具合が悪くて病院に行く人(これが当然だけど)など、とてももちませんね。